ボードゲーム戦略置き場

ボードゲーム戦略の考察とかを書き留めておきます。

自爆テロ的妨害を防ぐ「手札」というシステム最高。

 

多人数戦は強い人が安定して勝てる形式ではない。

初心者vs中級者vs上級者の対戦で、初心者が上級者を執拗に妨害し続ければ、中級者が勝ってしまうのだ。

 

プレイヤーの人数が増えると、複雑度が上がりゲーム展開のパターンが増えるので、最適行動を取るのは難しくなる。こう考えるとむしろ実力が反映されやすそうだが、実際は「実力の低い人が誰を妨害するかわからない」という不確定要素が競技性をめちゃくちゃにする。

僕は宝石の煌きは3人戦が一番好きだが、宝石の煌き愛好家たちの多くは2人戦を好んでいる。3人戦は理不尽な妨害を受けて不愉快な展開になることが多いからだろう。実際、有志による宝石の煌き大会も毎年2人戦で行われている。

 

最近の僕のブームはアルナックで、主に3人戦でプレイしているのだが、妨害されて嫌な気持ちになることが殆どない。アルナックは偶像などの代替手段があり、妨害されても次善の策を講じやすいからだと思っていた。それに加えて、手札という非公開情報が妨害を抑制してくれているんだと最近になって気がついた。

 

妨害というのは相手の最適戦略を潰すということであり、宝石の煌きのようにすべて公開情報なら初心者でも簡単にできる。相手の欲しがってる色を独占したりカードを予約してしまうだけでいいのだ。

だが、アルナックのような手札のあるゲームだと、相手の最適戦略を予想するのは容易ではない。せっかく妨害しても想定していたカードが相手の手札になかったら無意味だ。だから妨害よりも自分の最高効率の手を打つのが当たり前で、妨害はあまり発生しない。

 

実はアルナックはしっかり記憶していれば相手の手札は結構透けているのだが、初級者にできるほど簡単ではない。(アルナック上級者のつもりの僕でも相手の手札はおおまかにしか把握できていない。)

こういった妨害の敷居の高さによって、意味不明な自爆テロのような妨害を受けて不快になることがアルナックでは少ないのだ。

 

手札というゲームシステムの利点は、カードを引く運試しの楽しさと、秘密の情報があるというワクワク感と、シンプルなルールで戦略を複雑にできる便利さ、ぐらいだと思っていた。妨害のしにくさによる多人数戦でのストレスの少なさも手札の良いところだと気がついた。

手札があるとアブストラクトゲームではなくなってカジュアル度が上がるし、ストレスが少ないし、考えどころもたくさん増える。手札ってすごく良いシステムだな。